最近はあまり見ない言い方ですが、女性の看護師には「白衣の天使」という美称があります。語源的には、クリミア戦争において野戦病院の衛生環境、処置状況を大きく改善した気高いナイチンゲール女史とも言われています。一方、日本に浸透している白衣の天使は、患者に優しく寄り添い看護する姿を指すことが多いです。
2021年度の小学生女子を対象としたアンケートでも、看護師はパティシエに次いで堂々の2位にランクインしています。優しく憧れる人が多いイメージがある看護師ですが、実際の適性においてはメンタルとフィジカル、双方のタフさが要求される仕事でもあります。
まず、病棟看護師は単純に肉体的に重労働です。動けない患者の介助や移動、それをさまざまな病室の入院患者ごとに対応しなければなりません。休憩まで腰を落ち着けて休める時間がない、それどころか休憩時間まで半ばで切り上げなければならないこともあります。加えて、精神的に不安定で言動が攻撃的になっている患者や家族への対処や対応、患者自身の死もまた看護師の業務上経験するものです。
これらは「感情労働」とも呼ばれ、ストレスや疲労の蓄積から看護師自身が精神的に参ってしまうケースが多いです。患者と看護師間だけでなく、看護師間での人間関係が問題になることもあります。精神的に慣れたり、日頃の業務で体力がついたりするケースもありますが、メンタルやフィジカルが最初からある程度備わっている人には看護師適性があると言えるでしょう。